2013年5月13日月曜日

キース・ジャレット・トリオの日本最終公演(大阪ラスト)




終演後の舞台


大阪は新しくなったフェスティバルホールにて、キース・ジャレットpf、ゲーリー・ピーコックbs、
ジャック・ディジョネットds、によるトリオのコンサートを様々な想いで聴いて来ました。

数あるジャズのピアノトリオの中でも抜きん出て最高峰のユニットで、そのアンサンブルは凄まじく、
信じられない程ポテンシャルの高い音楽芸術を聴かせてくれます。


2900人で満席のジャズトリオなど他にありますまい。
クラシックを愛する女性と、トリオを愛する男性で構成される聴衆というのも面白いものです。



加齢による決断だそうで、今回が30周年で最後の来日。
思えば、私が学生の時から追っかけて来ましたから、自身には様々な思い出があります。
東京、大阪の公演はお金を借りてまで拝聴に出向いた記憶があります。

ロンドン留学中にロイヤル・フェスティバルホールでいきなり「枯葉」を一曲目でぶつけてくる辺りは、日本での構成と全く違ったり、という発見も。



本日は、始めは固めの形式でキースらしいしっかりとした前奏に始まり、途中のバランスを
とりつつ、アンコールはキャッチーなメロディの4ビート、バラード、ブルースというセオリー通りの
展開でした。すべて極上。加齢による衰えは感じませんでしたが、確かに昔とは楽曲の構成が
異なった感じです。対極的に言うと、粘らずまとまっている傾向。




先日の18世紀オーケストラと、このトリオを聴けた時代に生存して幸せだったと思う反面、
自分の指標となる、真の音楽芸術家をどんどん聴くことが不可能になっていく理不尽。

確かに爺さんが恥を晒す姿は見たくありませんが、少なくともえげつないテクニックを
備えた人達なのですから、倒れるまでステージに立ち続けて、我々中堅の指標で有り続けて
欲しいと思う事は間違いなのでしょうか。

残念な気持ちが勝り、少々落ち込んでいます。



ピアノトリオの形式はバロックのソナタを演奏する形式とまったく同じと考えても差し支えありません。わかる人にはわかるはずです。アンサンブル、リリシズムは古楽が学ぶべきものです。


(;´Д`)



尤も、「指標」などと云々言っている年齢でもなくなった事も事実でしょうか。

来る高齢に備え、昔に身につけたテクニックを更に磨くまでですかしら。