2013年6月24日月曜日

レコーディング



長年の友人である木村知之氏との二人で、ようやくCDを作ろうや、と、
本日初のレコーディングセッションを行いました。

20年来、彼とやってきたインプロヴィゼーションとブルースのみのシンプルしかし、
奥深いと感じて戴けるであろうアルバムになると思います。



何かが憑依するまでに90分ほどかかったりします


これこそ一朝一夕(いっちょういっせい)の付け焼刃では到達出来ない音楽芸術で、その20年を
たった数時間であっさり録り終えました。もちろん野暮なリハーサルなどありません。

途中に一つに壁にぶち当たります。
楽曲のテンポと互いの進行に違和感が生じ、没。
とことん話し合う?いえいえ、少しの説明で互いに理解します。


譜面は存在しませんので、目を瞑ってひたすら自分と相手の音楽進行に集中します。
当然のこと、自分を追い込むこと凄まじく、途中には胃酸過多と突発的な下痢にもなります。

シンプルゆえに恐ろしい現場


リコーダーの美しさとベースの魅力を保持しつつ、音楽を「芸術」に仕上げていくベクトルが同じ。
それは長年の友人音楽家でしか到達出来ない事象でしょう。

人的ストレスも皆無です。スタッフは最小限。
おかげで完全な集中力と共に素敵な作品が出来上がりました。

この夏の韓国と台湾訪問に合わせ、リリースの予定ですので、
また発売の際にはご報告を致します。


サウンドを作り込み、とことん詰めて行きます。





CD title [EXISTANCE] by Shigeru AKIYAMA  & Tomoyuki KIMURA

Asako Akiyama : directer    Makio Kido : photografer







2013年6月23日日曜日

プロモーション




前記、AKPの譜面を出版するも、あくまで質で勝負ゆえ、量販店、有名店でいつでもどこでも、
購入を戴けない辺は、恐縮ながら不便な事でしょう。

でも、水準的なポピュリズムには個人的な抵抗が少々ありますし、楽譜なぞは己が楽しく見つけ
出してなんぼ、の世界でしょう。得てしてポピュリズムというのは浅はかなモノと思います。

こちらの血のにじむ努力や教養までもが、数%の印税で満足させられるなどはモチベーション低下や己の能力を欠如させます。資本主義も限界に来ているのと違いますか?
よしんば有名になろうが、一体それが何になるのか皆目理解出来ない脳内構造ですので。

そう言えば、私の実兄を引き上げた(らしい)上司の方がこの度、文化庁長官になられた旨、
今日のニュースで見ました。同じ兄弟でもこの世でこれほでの差があるのかと、最早心底
応援したい気持ちに。いっそ、兄がそれに続かんかと想像する始末w。
凄いですね~勿論、勉強しかしなかった人ですが、そんな上司にめぐり合うコト自体、非常に
運が良い。素敵なハナシです。

閑話休題・・・

さて、こういう地味で地道な個人活動も否定は出来ないことでしょう。
でな訳で、自ら営業をしかけたり、それを人にお願いしたりしなければなりません。
まさか自分がこうなるとは数年前まで予想していなかった事です。

現在はアメリカ東部で国際営業部長の台湾人のチンウェイ君が活動してくれています。
ボストンのフォン・ヒューネのショップで取り扱いをしてくれるようです。

表紙の水墨画と、日本古謡に興味を抱いて下さる関係者がやはりいるようで、
世界に広がれば嬉しく思います。なかんずく日本のメロディは素敵ですのでね。


一方、機会があるので来月はソウルに自らプロモーションに行く事にしました。
幸い、ソウルのリコーダー&バロックの専門店が興味を抱いて下さるようで、全く
ありがたい事です。ついでにコンサートをしてくれ、と。
はい、致します。LCCの片道5千円という価格も後押ししてくれる要因です。


7月の韓国ソウル、8月はセミナー依頼で台湾の新北市。
9月はコンサート依頼で台北国立音楽庁と新北KHSホールでの二公演に出向きます。


この夏はなかなかゆっくり出来ないものの、日常業務よりは数倍やりがいはありそうです。
私に続くお弟子の養成と交流も始まります。



そして、ようやく重い腰を上げ、自らのCDを録音せんと、あす大阪でセッションを。
詳細はまたお知らせするとして、友人とのデュオです。
世界にはないでしょう、バスリコーダーとコントラバスとのセッション。

ようやく近隣の各国が視野に入って来ましたので、やはり何か痕跡と記念になるものを、
要するに己のCDが一番わかりやすいですし、良い機会でしょう。

これまた、インディースで独自に出しますので、有名店ではご購入頂けません。
今やロンドン・フィルまでも独自ブランドでCDを出す時代。
それだけレコード屋さんが人のふんどしで飯を食っていた証でしょう。
それを文章力と知性に疑問符が残る自称評論家と称する輩が好き勝手に大手の雑誌に書くという
行為。悪循環そのもの。昔の評論はまだロジックと教養がありましたが最近はひどい。



さて、例えば、地方の小さいうまい寿司屋が急激に全国チェーン展開しない、という考え方も
これまたポピュリズムに反して、方法論の一端としてはありでしょうか。
こだわりがあるので、そのフランチャイズ話はすみませんが断り、ってな具合ですか。


また、良いご報告出来ます事を。


しかしなぜか西、北に需要があります。東には全くありません。
私の居住が西宮北口、通称、西北だからとはつまらん冗談ですが何かのご縁でしょう。







2013年6月15日土曜日

愛好家の方々と美しい音色



今日は愛好家の方々の合奏の部門の発表会の日です。(でした)

告知は控えているため、ほとんど秘密裏に行われるのも素敵ですね。
出る杭は何とやら、とか。プロならいざ知らず、愛好家の方々ですので
そっとして開催して差し上げるのもこちらの所作の側面でしょう。

普段、音楽家プロの卵達ばかりに接している非常に珍しいケースの私には、
この愛好家の皆さんの集まりは、健気な感じでとても癒される次第です。

出て下さる団は半分程度なれど、ようこそご出演して下さいました、と毎度嬉しくなります。
そしてお上手になられます。継続は力、とは言い得ています。


素敵なお花を戴きました



特徴としてはライバル的視野、相対関係に無いそれぞれに個性のあるサウンド。

皆さん、どちらかというと音色やディテイールの美しさを求める傾向にあるようです。
尤も、バーバーブーブーという品の無い音を嫌う私の傾向と同期しているからこそ、
学ばれているのでしょうけど。プログラムも多彩で連続しても飽きることはありません。


中学1年生の秀逸な少女から80歳前後の奥様まで、またプロを目指す若手に指揮を
任せるなど、(手前味噌ながら)内容も多様に素敵な団体発表会なのです。


終了後:::

毎度ですが、素敵な会になりました。毎年音程、音程感、美しくなっていく音色、
明るい笑顔には癒されます。お疲れ様でございました。




2013年6月9日日曜日

チンウェイ・リンくんが研修に




今日はリコーダーアンサンブルのクラスに台湾の若手奏者チン・ウェイ君が研修に来ました。

彼は非常に意欲的な活動家なのですが、そもそも来週に開催されるボストンの古楽祭に
行く過程で、来日来阪。

竹山氏、ダンラウリン氏に会い、私のAKPの譜面「ふるさと」に対する指導法を教わりたいと、
参加しに来られた次第です。

せっかくなのでコントラバスを吹いて、参加し、スコアを見ながら色々と理解していくように
教授した次第です。




というわけで、今日は非常に独特なテンションで構成されたAKPの譜面に取り組みました。
確かにそう簡単には指導出来ない譜面かもしれません。浅知恵での指導には慎重な点が
とても共感出来る彼の良さかもしれません。謙虚です。


しかも、早速来週からのアメリカでの宣伝活動を自ら引き受けてくれました。
確かに、日本人よりもアメリカ人が好むアレンジかもしれません。

長年ボストンに居住していたので、アメリカン・リコーダー・ソサエティやフォン・フューネの
ショップ等に顔が効くそうで、「任せてくれぃ!」とのことで、心強いことです。


思わぬ国際営業部に人材が出来、AKPとしても嬉しいハナシになりました。




2013年6月8日土曜日

ダン・ラウリン氏来日公演



スウェーデンの世界的な奏者、ダン・ラウリン氏と奥様のアンナさんのコンサートが
大阪のホットスポット、タケヤマホールにて開催されました。


前日と当日に私のお弟子数人もレッスンをして戴いたようで、素敵な経験に
なったようです。ただ、いずれも相当吹けるお弟子連なので、どちらかと言うともう少し
初心者が習うべきだったかとも思わなくありません。
ベテランの奏者の引き出しは豊富ですので、お上手でない方こそが、より
貴重な経験になるでしょうから。






さて、別件でご夫妻とランチをしたのですが、彼の思う事象と同じ事が多く、
例えば、古楽の指揮者の音樂作りについては意気投合しました。

たまたま昨日、私は前述のヘルヴェッヘのくるくる指揮?を観ていましたし、
アーノンクールの常に怒りに満ちた本、汚い(主観)フォルテシモ、
ブリュッヘンの通常のベートーヴェンのテンポをわざと遅くして、効果を出す方法など。
最後にはカラヤンやカルロス・クライバーに至るまで。

ご本人は「古楽奏者の指揮は学ばれた物ではない」ので、きっちりと学習をしてから
試みたいのだそうです。奥様によれば、依頼がくるのだから引き受ければ良いのに、
と。
本質的に真面目な方です。

また、水墨画がお好きなそうで、丁度出来上がっていたこちらのAKPの譜面を
差し上げました。



さて、コンサートですが、全てにおいて大変お世話になっている竹山氏の依頼と
あればお断りする理由がありません。

正直、英会話には不便をしませんが、コンサートでのMC通訳というのは、
結果的に玉砕と言いますか、甚だ不本意な結果になりました。





もちろん、いつも言いますように「プロ」の存在する職業は、絶対にその「プロ」が
秀でています。それは、自分もプロだけにアマチュアとの相違は非常によくわかります。

それだけに、必死に己の小さい脳を動かし、努力しましたが、結果的に単語力の少なさが
アダになった感です。馬鹿のように笛ばっかり吹いたせいですw

特にアンナさんのギリシャから誘発されるインスピレーションがバッハに至る、や、
ナポリ学派のうんぬんの、スウェーデンのバロックの作曲家「ルーマー」云々については、
むつかしすぎて、賢いお客様に突っ込まれる始末です。カッコ悪いことですよ。
少しだけ喋るので、との約束が、哲学や構成を語るもので、しかも弾丸なので、脳がヘロヘロ。

反面、非常に勉強になりました。

最近、発見されたナポリのレオなる作曲家のリコーダー協奏曲について、
あるいは盛期バロックのスウェーデンとロンドンの関係など。


演奏については完全なダン・ラウリン奏法であり、良い子は真似してはいけません。
基礎を経た50代にのみ許されます。(真面目)


数人のお知り合いには嬉しいお言葉も頂きましたが、自分の勉強と経験のためとはいえ、
プロの領域には、やはりある一定のラインが存在するのだろうと、確信しました。

逆に言えば、リコーダーの世界にも明確に一定のラインが存在しますから、
超えてもいないのに偉そうな事は言わないようにして欲しいということでもありますが。

ところで、調律法。当然古楽関係者はその内訳を理解しています。

昨日は私も信頼を寄せる安田氏だったのですが、彼らの希望を四人で議論しました。
通常がa=415Hzですが、1曲をモダンピッチで演奏し、その変ロの和音が綺麗にしたい旨。

さぁ、何が的確か。
結局、キルンベルガーの3番が妥当か、という事で安田氏も奮闘されていました。
彼の調律は他の方と少し異なり、どんどん奏者に近づいて来る何かが存在します。
故に、私もいつもお願いするのですが、やはりご夫婦共に非常に満足されていました。

ついで、妻のお手伝いした「譜めくり」も、面白いことに世界でナンバー1だった、と
褒めて下さいました。
当然弾いたことのある楽曲を左手で瞬時にめくるのですが、本来は右利きです。
右の場合は奏者の顔を遮る事になるのでいけません。小さな事ですが集中には重要な事です。


妻も譜めくりストとしてお手伝いを差し上げました。勿論完璧。




いずれにせよ、大阪で(好き嫌いは別にして)諸外国の猛烈なプロの演奏会に接する事が
出来るようになったことは、ダン・ラウリンも言っていましたが、全て竹山氏への奏者の尊敬と
ご自身の身を切る想いとご尽力であることは否定出来ないでしょう。


同じ理由で台湾の方々三名も聴衆として大阪に。一人は以前、これも私がセミナーの
通訳をしたチン・ウェイ君。ボストン古楽祭への途中に数日、大阪に、だそうです。

そのお友達は男性がリコーダーの製作を日本へ学びに留学する、とのことでした。
しかもフライブルグ音大で学んでいたため、在住の私の友人数名が結びついた次第です。

彼らはあすの私の中規模アンサンブルに参加されるのだそうですが、
随分、大阪も刺激的で楽しくなって来ました。


因みにコンサート、平日夜でも満席でした。


2013年6月7日金曜日

コレギウム・ヴォカーレ&シャンゼリゼ管弦楽団 西宮公演



   フィリップ・ヘルヴェッヘ指揮 Philippe Herreweghe


コレギウム・ヴォカーレ(ゲント) 
Collegium Vocale Gent


 シャンゼリゼ管弦楽団
   Orchestre  des Champs-Élysées






これは聴いておかないと、という訳で上記のコンサートに出向きました。

西宮在住で西宮にある兵庫県芸術文化センターに来てくれますので、自転車でふらっと
行ける辺りは様々なアドバンテージがありましょう。
ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、パリ管なども自転車で可能です。


さて、さすがに古楽関係者や趣味の方にはヘルヴェッヘの存在はかなり大きいと思います。
特に、コレギウム・ヴォカーレの古楽合唱の地位たるや世界有数であることは疑いありません。

最近のCDなどから得る幅の広すぎるレパートリーには少々不信感(主観)を持っておりましたが、
モーツァルトのレクイエムを聴かせてくれるわけですから、行くことにしたのでした、

全て主観ですので、絶大なファンの方には面目ないですが、何もそこまでノン・ヴィヴラートを
徹底せんでも、とういうぐらいの徹底ぶり。多分、ピッチはa=430で名前からすると煌びやか、
雅な感じを持っていたのですが、どちらかと言うと原点主義?に思えました。
飽きる時があります。

合唱はそれでも天上的な美しさで、特にソプラノが入り込んでくるフレーズでの美しさには
震えました。

勿論、非常にクオリティはハイレベルであり、オケ個々に非常にテクニックがあります。

セオリー通りのレクイエム後のアンコールはアヴェ・ベルム・コルプスで、まぁ素晴らしい事でした。




主観ですが、指揮はお上手ではありません。出だしで両手がくるくる廻るので開始がずれる、
非常に繊細なモーツァルトのオーケストレーションのピアノッシモでも1stヴァイオリンの入りが
雑、ティンパニがズレズレなど。管弦楽法の理解に不満がないとは言えません。

合唱指揮者のイメージも無きにしもありませんが、少なくともコンチェルト・ヴォカーレの秀逸な
演奏に比すと、相対的にオケ自体はまだ掌握しきれていないと・・・かは、いうべきでは無いの
でしょうか。

勿論、コンサート全体は非常に上等であり、満足出来るものだった事は事実です。
しかし、相当ガラガラなのが関西な感じでした。無名というより平日の19時西宮のせいでしょうか。

尤も、どうしても行きたいコンサートがあれば「何とかなる」はずですから、やはり知名度でしょうか。



個人的には前日から地方に前入りして午前に一公演、午後に一公演の私には珍しい
学校公演を終え、新しいタイヤですっ飛ばして帰宅して、シャワーをして、自転車をして
駆けつけたもんです。



先日のキースやブリュッヘンに続くだけに、単純に相対感を語るのは良くないでしょうが、
前記のアンサンブルはもう日本に来ない分、それでもまだ将来性のあるこの楽団で総勢
80名近いモーツェルトを生で聴くことが出来た事は、良き体験になりました。




そういえば、どなたもにお会いしませんでした。